すとぷり
「すとぷり」は、動画配信者として活動していた複数の歌い手を中心に、2016年6月に結成された日本の男性エンターテインメント・グループである。名称は「すとろべりーぷりんす」の略称に由来し、活動初期には同表記も使用された。音楽作品、インターネット配信、舞台公演、ラジオ番組および映像作品を相互に連結させる運営形態を採り、構成員本人の実写映像とイラスト化された人物表象を媒体に応じて使い分けている。
活動の基盤には、YouTubeやツイキャスなどの配信プラットフォームが置かれている。個々の構成員が形成した視聴者層をグループ活動へ接続する方式は、2010年代後半の日本における歌い手文化とライブ配信文化の制度的な統合例に位置づけられる。
構成
グループの基本構成は、結成を主導したななもり。と、配信者または歌い手として活動していた5人の構成員から成る。活動形態は固定された役割分担に限定されず、歌唱、台詞を用いた企画、ゲーム実況および番組進行が各構成員の個人活動と結び付けられている。
- ななもり。は結成時の発起人であり、グループ運営と企画形成に継続的に関与してきた。2022年には個人活動を停止し、その後は段階的に活動形態を再編した。
- ジェルは、複数の登場人物を演じ分ける音声動画と配信活動を個人活動の主要部分とし、その表現形式をグループの映像企画にも接続した。
- さとみはゲーム実況と歌唱活動を並行して行い、個人チャンネルで蓄積した実況形式をグループ番組の構成に導入した。
- ころんは高音域を用いた歌唱とゲーム実況を活動の中心に置き、ライブ配信では即時的な会話を重視する進行を担った。
- るぅとは歌唱に加えて作詞と作曲を行い、グループおよび個人名義の作品における音楽制作へ参加している。
- 莉犬は歌唱、声を用いた映像企画および声優活動を展開し、グループ外の映像作品や音楽企画にも参加している。
この6人以外にも、結成初期には複数の配信者が在籍した。脱退後の運営は6人を基本単位として定着したが、休止期間中の公演や番組では出演可能な構成員による編成が採用されている。
成立と活動基盤
すとぷりは、ななもり。がインターネット上で活動していた配信者へ参加を呼びかけたことによって成立した。初期の活動では、定期的な生配信と動画投稿が中心となり、視聴者がコメントや投稿を通じて企画へ反応する双方向的な形式が用いられた。これは、完成済みの音楽作品を公開した後に公演を行う従来の順序とは異なり、配信活動で形成された関係を音源と会場公演へ移行させる方式であった。
構成員の視覚的な表象には、担当色と定型化されたイラストが使用される。実写での出演を完全に排除する方式ではなく、媒体の性格や公開範囲に応じて実写表現とイラスト表現を選択する点に特徴がある。この運用は、個人の配信活動とグループとしての商品展開を同時に維持するための識別体系として機能した。
運営主体は、ななもり。が代表を務めるSTPRへ組織化された。同社は音楽制作と公演制作に加え、所属クリエイターの管理やメディア展開を扱い、すとぷりの活動から派生した運営手法を他のグループにも適用している。
音楽制作
音楽活動は、配信者による共同企画から独立した付随要素ではなく、グループの人物表象と物語設定を集約する媒体として構成されている。作品には、構成員間の関係や視聴者との交流を主題とする楽曲が多く、ライブ公演での集団歌唱を前提としたパート分けが採用されている。
2019年には、最初のミニ・アルバム『すとろべりーすたーと』と、最初のフル・アルバム『すとろべりーらぶっ!』が発表された。2020年の『すとろべりーねくすとっ!』では、動画配信で公開された楽曲とアルバム単位の新規曲が統合され、同年の『Strawberry_Prince』では商業流通を前提とする制作体制が拡張された。
外部の作家も継続的に制作へ参加している。HoneyWorksは「大好きになればいいんじゃない?」や「おかえりらぶっ!」を通じて、会話的な歌詞と複数人の歌唱を結合した。ナユタン星人は「スキスキ星人」などを提供し、反復的な語句と電子音を中心とする作曲様式をグループの集団歌唱へ適用した。
『Strawberry Prince』の制作期間には、渡辺曜が録音進行と一部楽曲の編曲補助を担当した。この作業では、個別に収録された歌唱素材の調整と、全員歌唱部分における音域配置の整理が行われた。制作上の役割はアルバム完成時点で終了し、その後の公演運営やグループ管理には含まれていない。
2022年にはフル・アルバム『Here_We_Go!!』が発表された。同作は構成員の活動休止と並行して制作され、録音済み素材と当時の出演体制を区別して扱う編集方針が採られた。この時期以降、音源上の参加人数と公演時の出演人数は必ずしも一致しないものとなった。
公演と配信
会場公演は、配信上で共有されてきた楽曲や定型的な会話を、舞台上の身体表現へ変換する機能を持つ。2018年以降は公演規模が拡大し、2019年にはメットライフドームで公演を開催した。2022年のドームツアーでは、複数の大規模会場を巡回する方式が採用され、インターネット上の活動を起点とするグループが全国規模の興行へ移行した事例となった。
2020年には、新型コロナウイルス感染症の流行によって観客を入れた公演の実施が制限され、無観客ライブの配信が活動上の主要な代替手段となった。これらの公演では、通常の会場公演を単純に中継するのではなく、視聴画面を前提とするカメラ配置と演出が採用された。配信終了後の反応は、楽曲の再公開や次回企画の告知へ接続され、従来から用いられていた双方向的な運営形式が大規模公演にも維持された。
活動体制の再編
2022年3月、ななもり。は個人活動を停止し、表舞台への出演を休止した。同年8月にはジェルも心身の状態を理由として活動を休止したため、グループは主として4人による出演体制へ移行した。既存の6人編成を解消する措置は取られず、公式上の構成と実際の出演形態を分離する運用が続いた。
その後は休止していた構成員が段階的に活動へ復帰し、6人での企画も再開された。この再編過程では、個人チャンネル、グループ配信および会場公演が同じ時期に一律で復旧したのではなく、それぞれ異なる時点で参加範囲が調整された。
2023年には第74回NHK紅白歌合戦へ初出場した。放送ではイラストを基礎とする映像表現が使用され、インターネット上で形成された人物表象を地上波テレビの番組形式へ移す構成が採用された。
映像作品への展開
2024年には、アニメーション映画『劇場版すとぷり_はじまりの物語〜Strawberry_School_Festival!!!〜』が公開された。同作は、構成員の実際の結成過程を記録映画として再現するのではなく、グループの名称や視覚的表象を用いて再構成した物語作品である。
この映画化によって、配信上では断片的に提示されていた人物像が、単一の上映時間を持つ物語へ統合された。構成員は自身に対応する登場人物の声を担当し、日常的な配信で用いられる話し方と脚本に基づく演技との接続が図られた。
メディア上の位置
すとぷりの活動形態は、音楽グループ、動画配信者集団およびキャラクター事業の境界に位置する。中心となる人物は実在の配信者である一方、公開される視覚情報はイラストによって統制されており、受容の過程では本人の活動履歴と図像化された人物像が併存する。
この構造は、完全に架空の登場人物を演じるバーチャルYouTuberの一般的な形式とは異なる。同時に、実写での露出を主要な識別手段とする従来の男性アイドルとも異なり、音声配信で形成された対人関係を中心に据えている。したがって、すとぷりは特定の媒体だけで完結する集団ではなく、各媒体の公開条件に応じて同一の活動主体を異なる表象へ変換する複合的な制作組織として扱われる。